アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.3 脚注L.1】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.13 脚注L.1 (脚注2について) X (「p→qはpが偽のときには真」に注意します。)

関連項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.13 脚注L.1 非対称性は反対称性を含意するが,逆は成り立たないことに注意されたい Y3 逆は成り立たないが,非対称性が反対称性を含意することに注意されたい(→ 詳細



  • 非対称性が反対称性を含意するという点がポイントです。脚注の「もしもxRy→...」部分は,このことを説明しています。
  • 非対称性が反対称性を含意するというのは,「非対称性が成立する→反対称性が成立する」ということです。つまり,「∀x,y∈S:xRy→~(yRx)」→「∀x,y∈S:(xRy&yRx)→x=y」ということです。非対称性が成立すると,xRy→~(yRx)なのですから,反対称性の前提条件のxRy&yRxを満たすx, yの組は存在しないことになります。つまり,反対称性の(xRy&yRx)→x=yの式で→の左側は常に偽ということになります。一般に,「p→qはpが偽のときには真」ですから,反対称性自体は成立していることになり,結局,「非対称性が成立する→反対称性が成立する」は正しいことになります。
    (脚注の「もしもxRy→...」以下の部分は,上記のことの説明です。)
  • 「逆は成り立たない」というのは,反対称性が非対称性を含意するとはいえないこと,つまり「反対称性が成立する→非対称性が成立する」とはいえないということです。式で考えれば,「∀x,y∈S:(xRy&yRx)→x=y」→「∀x,y∈S:xRy→~(yRx)」とはいえないということになります。これを示すには,反対称性が成立して,非対称性が成立しない例を1つ上げれば十分です。例えば,Sとして整数全体の集合を取り,x≧yのときにxRyと表すことを考えると判りやすいでしょう。この場合,反対称性が成立し,非対称性が成立しないことが簡単に確認できます。





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2011年11月27日 初版をアップ]


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