アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.214, L.14】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.214 L.14 (定理10*3について) X (→詳細



  • 定理5*1(P.89)は,「条件U, A(匿名性), N(中立性), S(正の反応性)が,決定力のある集合的選択ルールがMMDとなるための必要充分条件である」とするものでした。
  • 補題5*d(P.90)は,「中立性と正の反応性を満たし決定力がある集合的選択ルールは,強パレート原理を満足する」とするものでした。
  • 補題5*dは,非負の反応性に言及しませんが,正の反応性は非負の反応性を包含するものです。また,補題5*b(P.89)より,中立性があれば,無関係選択肢からの独立性が満たされるのでした。
  • 以上より,定理10*1と定理10*2で言及された,無関係選択肢からの独立性,中立性,非負の反応性,強パレート原理が確認されます。
  • これに価値制限(VR)が加われば,定理10*1により,問題の準推移性が確認されます。
  • また,これに限定的同意(LA)が加われば,定理10*2により,問題の準推移性が確認されます。
  • 補題1*k(P.22)は,「もしもRが有限集合Xにおいて反射性,完備性,準推移性を満たせば,選択関数C(S,R)がX上で定義される」とするものでした。MMDが反射性と完備性を満たすのは自明としてよいでしょう。そこに準推移性が加わることで,選択関数が定義される(C(S,R)が空にならないという意味でした)ことになります。
  • 定義4*1(P.65)より,社会的決定関数は,値域がC(S,R)に制限される集合的選択ルールでした。社会的決定関数で値域が空にならないとは,C(S,R)が常に定義されるということでした。MMDは個人的選好のすべての可能な布置に対して,この条件を満たすことになります。





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[2015年7月28日 初版をアップ]

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