アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【補題10*c】

dss50.org

 

検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.211 L.22 (補題10*cについて) X



以下のように考えると判りやすいかと思います。
  • xIyIzはxRyRzの一種です(他のyRzRxなどの一種でもあります)。そこで,もともとN(xIyIz)はN(xRyRz)以下です。
  • N(xIyIz)=N(xRyRz)とは,xIyIz以外に,xRyRzに当てはまるものがないことを意味します(他のN(xIyIz)=N(yRzRx)なども同様です)。
  • もし「xが最良でない」という意味で価値制限(VR)が成立とすれば,関与している個人は全員「xが最良でない」のですから,その中に,xRiy&yRizや,xRiz&zRiyのケースはないはずです(これらは「xが最良である」ためです)。
  • つまり,「xが最良でない」の場合は,xRiy&yRizや,xRiz&zRiyである個人は,関与しない個人(xIyIz)の中にのみ存在しうることになります。よって,(1)N(xIyIz)=N(xRyRz)と(5)N(xIyIz)=N(xRzRy)を帰結できることになります。





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2015年7月20日 初版をアップ]

「アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く」のトップページに戻る
「読解のポイントを探る」(項目リストページ)に戻る