検討項
位置 |
検討する部分 |
種別 |
訂正案, コメント |
P.47 L.9 |
〔3.3の第2段落(条件Uの議論)〕 |
X |
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P.51 L.11 |
(条件Uについて) |
X |
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P.56 L.26 |
条件Uにより |
X |
(「条件Oにより」であれば判りやすいのですが。) |
- P.47 L.9から始まる3.3の第2段落では,「定義域の非限定性の条件」として条件Uが導入されています。
- ここで,条件UがSWF(社会的選択に順序性を要求する)に関する条件であることに注意します。つまり,本書の条件Uは,定義域を限定しなくても社会的選択の順序性が維持されなくてはいけないというニュアンスのものです。
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P.49の第2段落(L.11-)では,MMD(多数決)が条件Uを満たさないことが指摘されています。
これは,投票者の選好のパターンによっては,コンドルセのパラドクスのような循環の問題が生じうること,(すなわち推移性が満たされず,よって社会的選択に順序性を与えることができないこと)を考えると判りやすいでしょう。
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一方,P.49の第3段落(L.20-)では,「順位評定」投票法(ボルダ法)が条件Uを満たすことが指摘されています。これは,多数決と違い,社会的選択の循環の問題が解決されていることを考えると判りやすいでしょう。
- 本書の条件Uは,フォーマルにはP.51 L.11で定義されます。SWFの定義部分(定義3*1)と離れているのでやや読み取りにくいですが,やはり先立つSWFの定義が前提になっていること(条件Oが前提になっていること)に注意します。すなわち,条件Uは,「ルールfの定義域を"個人の順序の論理的に可能なすべての組み合わせ"に拡大しても,条件Oを崩さない」というニュアンスのものであることに注意します。
- P.56 L.26でアローの不可能性定理の証明に際して「条件UによりRは完備であることが求められる」の表現がありますが,ここでも,上記のニュアンスについて思い出す必要があります。この証明部分で重要であるのは,条件Oの「値域がX上の順序の集合に制限される」点です。順序は反射性・推移性・完備性に基づくので,Rは「完備であることが求められる」ことになります。
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本ページの概要とお願い:
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特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
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[2011年12月12日 初版をアップ]
(最終アップデート:2011年12月13日)
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