アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.37 L.10】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.37 L.10 (定義2*1について) X  



  • ここでは「集合的選択ルール」(CCR: Collective Choice Rule)の定義をしています。
  • 「1つそしてただ1つ」(one and only one)を割り当てるというのは, 必ず1つは割り当てるし,そして1つだけしか割り当てないという意味で, 日本語でいえばシンプルに"1つを割り当てる"という表現で捉えてよいでしょう。
  • ここで定義文の中に「任意の組にたいして…」とありますが, 必ずしも「論理的に可能なあらゆる個人的選好の組み合わせに対応できなくてはいけない」ということではありません。 (つまり,第3章でいう条件U(定義域の非限定性)は設定されていません。)

    集合的選択ルールの定義域として何らかの範囲を設定した上で, その範囲内で任意の組にたいして社会的選考関係Rを割り当てればよいということに注意します。
  • このことはその後の文脈を見ていくと確認できます。 もし集合的選択ルールの定義に定義域の非限定性が含まれているとすれば, 定義域に条件を課したりして,その非限定性を崩すような議論の展開のさせ方をすると, それはもはや集合的選択ルールでないことになってしまいます。 ですが,例えば補題2*b(p.38)などでは,ある種の集合的選択ルールの必要十分条件として, 定義域に特定の条件を課していくような議論をしています。

    (定義域に条件を課しても集合的選択ルールであり続けるのですから, 集合的選択ルールの定義に「定義域の非限定性」は含まれていない訳です。)





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2011年7月31日 初版をアップ](最終アップデート:2011年8月5日)


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