アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.20 L.14】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.20 L.14 (補題1*hについて) X



  • 準順序Q1が準順序Q2の部分関係であるとされています。このとき,定義により,すべてのx, y∈Xに対して以下が成立します。
     (1) xQ1y→xQ2y
     (2) [xQ1y and 〜(yQ1x)]→ 〜(yQ2x)
  • 以前に確認したように,(2)は左辺にxQ1yがあることから,次の(2')のように書くこともできます。
     (1) xQ1y→xQ2y
     (2') [xQ1y and 〜(yQ1x)]→ [xQ2y and 〜(yQ2x)]
  • さて,補題1*fあるいは補題1*gにより,任意の準順序にはそれと両立する順序がありますので,準順序Q2と両立する順序があるはずです。これをQ3とおくと,以下が成立しています。
     (3) xQ2y→xQ3y
     (4) [xQ2y and 〜(yQ2x)]→ [xQ3y and 〜(yQ3x)]
  • よって,次が成立することが確認できます((1)と(3)から(5),(2')と(4)から(6)を得ました)。
     (5) xQ1y→xQ3y
     (6) [xQ1y and 〜(yQ1x)]→ [xQ3y and 〜(yQ3x)]
  • 上の(6)の式の右辺の一部を省略すると,次のようになります。
     (5) xQ1y→xQ3y
     (6') [xQ1y and 〜(yQ1x)]→ 〜(yQ3x)
  • 以上,Q1が,Q2を部分関係として含む順序Q3の部分関係であることが判り,Q1とQ2が両立することが確認できました。





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2013年5月31日 初版をアップ]


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