検討項目
位置 |
検討する部分 |
種別 |
訂正案, コメント |
P.19 L.9 |
(定義1*5について) |
X |
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〔議論1〕
- (2)の左辺に「xQ1y」があります。
- そこで(1)を考え合わせれば,(2)の右辺は
「xQ2y and 〜(yQ2
x)」と書いてもよいことになります。この式を(2')とします。
- すると,(1)も(2')も,左辺と右辺の違いは下のようにQのインデックスのみということになります。
(このように考えると判りやすいと思います。)
(1) xQ1y→xQ2y
(2') [xQ1y and 〜(yQ1
x)]→
[xQ2y and 〜(yQ2
x)]
- さらに見やすくするために,ここでQ1をR1,Q2をR2と書き変えてみます。
(1) xR1y→xR2y
(2') [xR1y and 〜(yR1
x)]→
[xR2y and 〜(yR2
x)]
- そして,(これまでRをベースにPを定義して使ってきたことに倣い)R1に対してP1,R2に対してP2という表記を導入して使うとすると,上の式は次のように表現できます。
(1) xR1y→xR2y
(2') xP1y→xP2y
-
結局,「部分関係である」とは,元の2項関係でRであれば矢印の先の2項関係でもR,元の2項関係でPであれば矢印の先の2項関係でもPの関係にある,ということと理解できます。
(そして,この部分関係の考え方が,後で第2章P.39(下から3行目)の「伝統的な厚生経済学は...本質的に『パレート主義者』であった」等の議論に結びついていくことになります。)
〔議論2〕
- ところで,部分関係の特徴は,表として表現することでさらによく理解できます。
-
例えば,{v, w, x, y, z}という要素の集合に関して,Q1として次のような準順序を考えます。(aQ1bの関係があるとき,該当するセルに●の印をつけています。)
a\b |
v |
w |
x |
y |
z |
v |
● |
● |
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w |
● |
● |
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x |
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● |
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y |
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● |
● |
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z |
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● |
● |
● |
- この準順序Q1を部分関係として含む準順序Q2を作ることを考えたいのですが,その前に準順序Q1の表自体を考えるため,表に色をつけてみます。
a\b |
v |
w |
x |
y |
z |
v |
● |
● |
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w |
● |
● |
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x |
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● |
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y |
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● |
● |
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z |
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● |
● |
● |
※対角線上の緑のセルは,自分自身との2項関係に対応する部分を強調したものです。準順序(反射性と推移性)は反射性を満たしますので,これらにはすべて●がつきます。
※また,オレンジ色の2セルは,この対角線に関して対称な2セルを一組取り上げたものです。本HPでは,このような2セルを「対セル」(ついせる)と呼ぶことにします。例えば,上記のオレンジ色の2セルの他,w行v列のセルとv行w列のセルなど,対角線に関して対称な位置のセルはすべて対セルです。
- つぎに上の2項関係を部分関係として含む準順序Q2の具体例をつくることを考えます。
- (1)の規則により,元の表で●があるセルは,
準順序Q2の表でも●があるはずです。
- (2)の規則により,元の表で対セルの一方にだけ●があるセルは,準順序Q2の表でもその一方にだけ●があるはずです。
- その他は,(推移性の維持という制約の範囲内で)自由に●を足してよいことになります。
- 下の表は,上記の手順の意味を視覚的にまとめたものです。赤いセルには●を入れられません。青いセルの中には(推移性の維持という制約の範囲内で)●を足しても構いません。こうしてできる任意の二項関係が,準順序Q2として採用可能です。
a\b |
v |
w |
x |
y |
z |
v |
● |
● |
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w |
● |
● |
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x |
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● |
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y |
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● |
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z |
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● |
- 具体的には,例えば以下のような表を考えることができます。
a\b |
v |
w |
x |
y |
z |
v |
● |
● |
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w |
● |
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x |
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● |
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y |
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z |
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a\b |
v |
w |
x |
y |
z |
v |
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w |
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x |
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y |
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z |
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a\b |
v |
w |
x |
y |
z |
v |
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w |
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x |
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y |
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z |
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● |
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● |
● |
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本ページの概要とお願い:
- 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の
特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
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[2010年12月2日 初版をアップ](最終アップデート:2013年6月2日)
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