アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.17 L.1】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.17 L.1 (補題1*cについて) X  



  • [x]や[x,y]の大括弧([と])は集合の意味です。日本でよく使う中括弧({と})と同じです。
  • xPy ⇔ xRy & [x]=C([x,y],R)を証明するのですが,証明は最初の1~3行が「→」の証明,つぎの4~6行が「←」の証明です。
  • 「→」の3行の証明部分のうち,2行目の[x]は,C([x,y],R)のなかに(i)「xが入る理由」と(ii)「yが入らない理由」に分けて考えると判りやすいでしょう。
    • (i)は,1行目からxRyがすでに得られていて,さらに反射性によりxRxだから(3行目の「反射性より…」のコメントはこのため)と理解できます。
    • (ii)は,1行目から「yRxが成立しない」ためと理解できます。
  • 「←」の証明部分([x]=…からはじまる残り3行)では, 最初の矢印でなぜ ~(yRx)が出てくるのかがポイントと思われます (xRyの方は選択集合の定義から自然に理解できます)。 このポイントはつぎのように考えると判りやすいと思います:
    • すでに反射性よりyRyがある。(「反射性より…」のコメントはこのため)
    • そこで「~(yRx)でない」(yRxである)とすると, 選択集合の定義上,yもC([x,y],R)に入ってきてしまい矛盾する(いま[x]=C([x,y],R)なので,yは選択集合に入っていません)。
    • よって,背理法から~(yRx)としか考えられない。
    • (最後のxPyは,xPyの定義から自然に理解できます。)





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2010年11月18日 初版をアップ](最終アップデート:2011年8月12日)


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