検討項目
位置 |
検討する部分 |
種別 |
訂正案, コメント |
P.12 L.11 |
(二項関係の性質について) |
X |
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結論からいうと,本書を読み進める上で当面重要なのは(1)反射性,(2)完備性,(3)推移性です。
この3つは理解しやすく,ここで覚えてしまった方が後が簡単かと思われます。
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(4)の反対称性について
- xRyとyRxが両方成立するとすれば,
それはxとyが同一要素のときでしかない,という性質です。
- 異なった要素であるx, yについては,xRyとyRxが両方成立することがないということです。
- そこで,例えばRを何らかの水準を比べる概念(xやyが人として,「xの背丈がyの背丈以上」など)とすれば,「それ自身を除いて,Sの中に同一水準の要素はない」,つまり「同水準の他者がいない」という意味の性質と言えるでしょう。
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(5)の非対称性について
- xRyが成立すれば,反対のyRxは成立しない,という性質です。
- 少し注意すると,「xとyが同一要素であれば,xRyが成立するときには必ず反対のyRxも成立するはずである」という点に気がつきます。
- そこで,非対称性が成立するのは,「xとyが同一要素であれば,xRyもyRxも成立しない」というときに限られます。
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(6)の対称性について
- xRyが成立すれば,反対のyRxが必ず成立するという性質です。
- (明らかに(5)の非対称性とは両立しません。)
- 例えば,Sをある市の住人の集合(そこで,xやyはその市の住人)として,xRyをxとyの「誕生日が同じ」という関係とします。
- このとき,閏年も含めて全住人は366日のカテゴリーに分類できますが,各カテゴリー内でxRyならばyRxです。(また,カテゴリーをまたいだ関係としては,xRyはもともと成立しません。)
- 「xRyが成立すれば,反対のyRxが必ず成立」しているのですから,この場合は対称性が成立していると判断されます。
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本ページの概要とお願い:
- 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の
特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
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[2012年4月28日 初版をアップ]
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